市政の動き−議会報告

【12.09.26】反対討論

2012年9月議会に行った日本共産党市議団の反対討論

日本共産党の波多野こうめです。
ただいまの採択すべきものとした委員長報告に対して、日本共産党市議団を代表して反対討論を行います。

認第1号 平成23年度各務原市一般会計決算の認定について      23年度は予算審議の最中に国難と言われる未曾有の災害3・11東日本大震災と福島第1原子力発電所の事故が起きました。災害に強いまちづくりや市民生活に密着した施策がより一層望まれるようになり、物心の価値観が大きく変化しました。行政にムダを止めて堅実志向を望む声が大きくなっています。自治体は、住民のいのち・くらしを守る使命を負っています。災害から住民の命を守るために、学校や公共施設、住宅などの耐震化、ハード面での対策の強化が、もとより必要となっています。日本共産党は、平時より、医療・介護・福祉・子育て支援など強い基盤とネットワークを築いておくことが、災害時にも大きな力が発揮できると指摘してきました。この間、保健所を半減させ、介護も保育も民間任せにし、市町村合併で役場を住民から遠いものにし、公務員削減で必要な市民サービスを削り、救急出動が増しているにもかかわらず消防力も削減するなど、あらゆる分野で後退しています。住民の福祉を守るという自治体の仕事が、行革、地域主権のかけ声で壊されてきました。福祉と防災は一体のものです。国民的共同の力でこの未曾有の災害を乗り越えて、新しい地域社会を築くときです。


 まず歳入では、 障害者自立支援法による利用者負担を課している問題です。軽減措置や対策をとったというものの、国は中途半端な対応です。応益負担を残しているのは問題です。
 岐阜中流用水使用料です。農業と農家に対する手厚い支援が求められます。農業認定者 担い手を増やそうと努力されていますが、農家の経営はきびしく23年度は前年度比8名減の60名に減りました。そうした農家に用水事業の負担金と用水使用料を課しています。一層農家の経営を厳しくするばかりであり、岐阜中流用水使用料負担は認められません。
 廃棄物処理手数料です。ごみ処理は自治体の責任で処理すべきもので、手数料を取るべきではありません。23年度から、ゴミの減量及び循環型社会形成を推進するためと、ごみ袋に内包させる形で家庭ごみ収集手数料を徴収しました。2,714万円の手数料負担を市民に追わせ、その一方で一般ゴミ収集量は22年度より626トン増加し、3万1,182トン2%の増加となりました。ゴミ袋の有料化ではゴミの減量につながらないことがハッキリしました。今からでもゴミの有料化は中止すべきです。
 屋外広告物設置許可申請手数料を課しました。業者の置かれている厳しい経営状況にお構いなく景観を優先して、自営や企業の宣伝媒体である看板の縮小や撤去を求め、申請手数料を徴収しました。規制に対する批判や怒りが多く寄せられています。景観ありきの規制強化は、私権を侵害する点からも、この手数料徴収は認められません。

 次に歳出です。
 総務費では、職員定数を削減したことです。毎年定数削減が行われ、23年度は1045人を999人に減らしました。ケースワーカーは1人増員で6人となり、一人の持ち分80世帯の枠内となりました。しかしその他は、正規職員の退職不補充、臨時職員への置きかえ、学校給食や保育所などの民間委託・民営化など、住民サービスの後退と職員の労働条件の悪化が進んでいます。市民の安全・安心を守り、市民に寄り添ってサービスを行うのも、市民の健康を守り、増進させるのも職員です。マンパワーの強化をうたっても、職員の減員は市民サービスの後退を意味します。また、職員の過密労働、過重負担となってきています。
 特に消防職員の増員が必要です。尾崎出張所にも念願だった救急救命士が配置されました。いま、全車両に救急救命士が複数乗車できるよう増員が必要です。そのためには専門的な知識や技術を習得する時間を保障する必要がありますが、今は内部移動で間に合わせている状況です。救急出動の回数が増加し、仮眠がままならない状況になっています。消防士や救急救命士の増員が必要であるのに前年度比2名減の168名です。増員を求めます。
 現業職員の給与の引き下げも、異常な賃下げ社会を公務員社会が牽引することになり、認定できません。

 防衛協会活動事業補助金についてです。自衛隊の後援会である防衛協会各務原支部に市費を出すことは問題です。中止すべきです。
 次に、市長の海外視察です。議員は3・11東日本大震災と福島原発事故を受け、国難時であり自粛すべきと中止しました。
 しかし市長は、スイス・ローザンヌとブータンの2回も出かけました。スイスの目的は、日本ホッケー協会ロンドンオリンピック予選開催合意書の締結に市長が自ら調印するわけではなく「立ち会う」ためです。、行く必要はありません。
 また、ホッケー協会へ100万円の補助金を支出しています。これは市長の航空運賃・宿泊料代です。ホッケー協会からの要請で出張したと言いながら、実費ではなく補助金と称して海外出張の費用を支出するなどというやり方は、その場のがれで絶対に認められません。
 2回目のブータンは岐阜新聞社の要請で出張したと言いながら、全額市費175万2000円も使っています。2回分合わせて286万5,400円です。
 全国民挙げて災害復興に取り組んで、市民の皆さんも、少しでも多くと募金や物資やボランティアにと協力していた時に、行く必要もない海外出張を2回も実施したことは、市民から大きな批判となっています。中止すべきでした。
 
 民生費では、鵜沼中保育所・前宮保育所を民営化にしたことです。経費が削減でき、サービスが充実したと言いますが、結局削れるところは人件費です。保育士をパートや非正規雇用に置き換えることになります。子育ては正規の職員で安心して働ける環境を作ることであり、民営化に反対します。

商工費では、地元商店が次々と廃業せざるを得ない経済状況にあり、手厚い支援が必要な時です。しかしグレーター・ナゴヤ・イニシアティブ協議会への補助金256万円、企業立地助成事業、テクノプラザ2期企業立地助成事業に4,691万円、さらに、県営河川環境楽園への補助金950万円は、市が支払う義務も必然性もないものです。各務原キムチはコンスタントに年間4億円を売り上げる事業へと成長しています。負担金70万円の支出は中止すべきです。
 各種イベントについては東日本大震災を受け、自粛や中止などもっと見直しをすべきでした。
 
  土木費では、国道21号の交差点改良は鵜沼駅東部第2土地区画整理組合が必要としているものです。ですから交差点改良事業費相当額を寄附という形で区画整理組合が負担しました。敷設(ふせつ)される交差点北側の市道整備も区画整理組合が原因者であり当然負担すべきです。市費を投じたのは問題です。また、区画整理事業の上物の公園整備も同様に区画整理組合が行うべきものです。市費の投入は認められません。

各務原大橋建設に伴い、堤防道路に迂回路が作られました。当初予算化していなかったからと増額補正を行いました。しかし、この迂回路は増額補正する半年も前に道路は施行され使われていました。またしても議会に諮らず、事業を先行したことは議会軽視です。
入札の問題です。各務原大橋上部工工事の請負契約です。上部工工事その1は、落札率56.9%で予定価格より実に14億円も低い、調査基準価格の最低ラインをも下回る低落札。上部工工事その2は4億円もの事業を、法を逸脱しているとしか思えない随意契約で、その1と同じ落札業者と契約を行いました。そしてその後、低落札を補完するかのように2億5000万円を超える増額補正をしました。
 この一連の契約は入札制度そのものを骨抜きにしてしまうようなやり方で認められません。

 教育費についてです。どの子も同じように教育を受ける権利があります。しかし、各務野冒険塾事業や各務野立志塾事業は教育の機会均等を奪うものです。
 偏っている音楽関連事業です。市内中学校では、さまざまな部活動が活発に行われています。これらのどの部活動にも助成し、レベルアップさせたり、保護者の負担を軽減することが求められています。
また、各務野さくらマーチングバンドについて、2年目も手厚い支援です。一クラブに特別な支援をすることは問題です。
 今日、子どもの貧困が問題になっています。市が企画し、募集するさまざまな体験学習・研修には、選抜された生徒や費用負担ができる家庭の子どもにだけチャンスが与えられる事業が幾つも実施されています。子どもの教育には、経済的にも格差を持ち込まない施策にすべきです。
 また、緑苑小、緑陽中の学校給食調理業務の民間委託を行いました。学校給食は安全で安心なことに加えて、食育として位置づけられ、何よりも教育の一環です。これをないがしろにする民間委託に反対します。
埋蔵文化財調査センターを水道庁舎へ移転しました。そのために展示ケースの買い換えしなければならなくなりムダなことをしました。また土・日は休館で小・中学校の児童・生徒を初め、多くの人が平日に来ることは難しく、交通の便の悪さもあり、職員の努力にもかかわらず、閑散としています。
 水道事業は本庁と産業文化センターに分散しました。水道庁舎がありながら、間借りをし、庁舎使用料を払うというムダを行っています。毎日水道庁舎と産文センターを行き来しなければならない職員、住民はあちらこちらへと振り回されています。作業車などの重機の保管場所と、職員が分散しています。緊急時の対応が懸念されます。
 グリーンスタジアム駐車場整備について、グリーンスタジアムは県の施設であり、市が行うべきではありません。

認第4号 平成23年度各務原市後期高齢者医療事業特別会計決算の認定について
 
 後期高齢者医療制度は、75歳以上だけ別枠に囲い込み、高い負担をさせ、必要な医療を受けられないという高齢者いじめ・高齢者差別の制度です。後期高齢者医療制度の廃止をかかげて政権交代を果たした民主党が、いまや「高齢化が社会保障費を増大させた」として公約を事実上断念するばかりか、増税やむなしの口実に高齢者をねらいうちにしていることは、最も重大な裏切りだといわなければなりません。
 新高齢者医療制度のその内容はさらに国の財政負担を減らすもので、現行の後期高齢者医療制度の看板のかけかえにすぎません。一層高齢者の負担を増大させ、医療差別を拡大させる内容です。このような、さらなる医療改悪は反対です。よってこの決算も高齢者いじめの中身ですので認定できません。


議第88号 各務原市総合特別区域法第23条第1項の規定に基づく準則を定める条例について

工場立地法では、環境保護や防災のため工場敷地の20%以上を緑地とすることが定められています。この緑地面積を5%以上に緩和し、、緑地以外の運動場など環境施設に対する割合の25%以上を10%以上に規制緩和しようとするものです。

工場立地法の目的は、工場立地が環境保全を計りつつ適正に行われ、国民経済の健全な発展と国民の福祉に寄与することとしています。そのために緑地面積や環境施設面積を定めているのです。緑地は、環境面はもちろんですが防災面でも延焼を防ぐなどの効果もあります。また環境施設は福利厚生として必要なスペースです。今回特別区域として川崎重工岐阜工場が対象となります。住宅地に囲まれた工場であることからも緑地の確保は必要であり、この規制緩和は問題です。よってこの条例制定に反対します。


請願第4号「大飯原発の運転を中止し原発からの撤退を決断するこ       とを求める請願」 について  
 
東京電力・福島第一原発事故から1年半がすぎました。この間「原発なくせ」「原発ゼロの日本を」の国民的世論とたたかいが大きく前進しました。
原発ゼロを求める声は、全国津々浦々で若者をはじめ、かってない幅広い国民が、日本の進路、未来を真剣に考えて、大飯原発再稼働反・原発ゼロを求めて怒りの声を上げています。
なぜそうなってきたのか。ちょうど1年前九州電力玄海原発や北海道の泊原発などあちこちの説明会でやらせがあったことが発覚し、原発のウソと「安全神話」がこの問題を通じて鮮明になる中で「原発なくせ」の世論と運動が広がって来ました。
大飯原発再稼働にあたって野田首相は「福島を襲ったような地震、津波が起こっても事故を防止できる対策を整えている」と断言しました。30項目にわたって、あたかも実施しているかのように見せて「検討に着手しただけで」「安全を確保」したというでたらめです。 
 大飯原発の地下に活断層があることが専門家から指摘されていますが、耳をかそうとしません。
 福島原発が地震や津波によって重大事故にいたるという警告を何度もされていたのに耳を傾けずに何もしなかったことが、取り返しのつかない事故を招いたのです。「事故は起きない」といいはるのは、国民を欺く「安全神話」そのものです。
 野田首相は、原発を止めたままでは、「日本の社会は立ち行かない」といいます。その理由としてあげるのは電力不足や化石燃料の輸入による電気料金値上がりを言いますが、これはまやかしです。原発こそ高コストであることは、今回の原発事故でも明らかになりました。もうだまされてはいけません。そして、原発の安全性と電力不足や料金問題をてんびんにかけることは最悪の恫喝(どうかつ)です。原発がいったん事故を起こせば取り返しのつかない事態になることがハッキリしました。一日も早く原発からの撤退を決断してこそ自然再生エネルギーに転換することができます。
 未だに福島事故は収束せず、原因究明も尽くされていません。
 福島県の避難者は依然として16万人、家族や子どもたちもバラバラにされ、日々、現在と将来への不安を募らせています。
この請願に反対をされる人は、東京電力福島原発の重大事故で国民と世界に大きな被害を与えたことをもはや忘れてしまったのでしょうか。いまだに避難を余儀なくされている16万人にも上る福島県民の苦しみに思いは至らないのでしょうか。「万が一」にでも原発事故は絶対に起こしてはならないのです。
 野田首相は「原発ゼロ」と言えないのです。今こそ各務原市議会としてこの請願を採択し「原発ゼロ」を発信する時です。よってこの請願不採択とした委員長報告に反対します。

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